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名古屋市立大学医学部医学科
医学研究科 リハビリテーション医学分野 教授
名古屋市立大学大学院リハビリテーション医学分野は平成26年1月に誕生いたしました。
講座の開設とともに私が初代教授の任を拝命いたしました。我々の講座は黎明期にあたり、スタッフが一丸となってリハビリテーション(以下、リハ)医学教育の充実と基礎・臨床研究の根幹を形成すべく、講座の立ち上げに邁進しております。一方、病院診療部門では、各診療科との連携のもと、脳血管障害や神経変性疾患、整形外科をはじめとした各種外科治療後、廃用ならびに循環器や呼吸器領域の機能障害、摂食嚥下障害、がんのリハ、小児運動機能障害などほぼ全ての問題に対応することで、患者さんに最良のリハサービスを提供し、早期社会、家庭復帰可能とすべく病院リハ部のスタッフとともに頑張っております。
リハ医学・医療の特徴は、臓器の障害のみでなく、障害から生ずる臓器特有の機能障害、精神・運動活動障害や生活の質(QOL)の改善を指向する医学・医療です。この目的のため、神経、運動生理や動力学、運動学などからみた知見、臨床各科の知識と手法などをもとに、臓器機能、認知能力、生活上の動作能力、生活の質という観点から障害像を把握する「障害学」的評価を行います。その上で神経、運動生理、認知、筋骨格系運動理論や運動学習を基礎とした訓練手法、痙縮への対応など種々のリハ的治療介入を駆使して、患者さんが障害を補完、克服し、よりよい社会・家庭復帰、質の高い生活を獲得するに資する診療体系を特徴としております。
私は、リハ講座の理念を、リハ医学、医療を通じた社会貢献と位置づけております。それは、リハ医学、医療が医療ばかりか福祉にまで及んでいるからです。その理念を完遂する方策として、①リハマインドをもった優れたリハ専門医の育成、②リハ医学、医療の充実が重要と考えます。我が国のリハ専門医数は極めて少なく、現状では、社会的ニーズに到底応えることはできず、専門医の更なる育成、増加が喫緊の課題とされております。こうした現状を踏まえ、我々の講座では第①の「リハ専門医の育成」に向けた総合育成プランとして、独自の基礎教育に加え、リハ医学、医療の根幹をなす基礎、臨床各科の知識と手法を学ぶ、名古屋市立大学の関連、関係施設と連携してリハ医療の実践と修練を行うなど、2017年から始まる新専門医制度下の研修プログラムも視野に入れたスキームを構築しております。第②の「リハ医学、医療の充実」に対する取り組みとしては、地域医療機関および行政・福祉機関との連携強化、基礎・臨床医学各科および医療スタッフとの緊密な連携、採算性の向上、国内外の他施設との連携などを目指して活動しております。卒前・卒後および大学院教育と基礎、臨床研究の充実も講座の根幹を成す重要な活動で、教室独自の運動学的・動力学的評価法の開発、ロボット技術による訓練機器の開発研究、体外刺激によるニューロリハ治療の確立に加えて、脊髄再生の基礎研究など基礎、臨床研究を発展、展開させ、新たな萌芽的研究にも着手しつつあります。
リハ医学・医療のユニークな点、リハ講座のあり方について私見を交えて縷縷述べました。我々の教室は緒についたばかりで、これからどんな方向に育ってゆくのかとても楽しみです。患者さんがより良い活動機能、生活の質を獲得されることを指向するリハマインドあふれた専門医を目指す人、新しい教室づくりに参画してくれる学生さんや若い先生方を多く求めております。我々の教室はきっとあなた方の希望を叶えていけると思います。どんどん、我々の教室に参加してください。